旅 dialogue

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在宅勤務中の会社員が『ワーケーション』について考える

 

 

ワーケーションとは

Wikipediaによるとワーケーションとは以下の意味を持つ造語。

ワーケーションとは、「ワーク」(労働)と「バケーション」(休暇)を組み合わせた造語で、観光地やリゾート地で休暇を取りながらテレワーク(リモートワーク)する働き方。 

私は在宅ワークが可能な職種であり会社が在宅ワークの方針を打ち出したこともあって、このコロナ禍で数ヶ月の在宅ワークが続いている。在宅ワークはメリットも多いのだが、都内のお世辞にも広いとは言えない賃貸マンションの一室で毎日仕事をしていると徐々に弊害も出てくる。仕事と私生活との区別がつきにくくなったり、日々の生活空間の狭さに疲弊してくるのだ。そんな折、在宅ワークの環境改善について調べているとワーケーションの存在を知った。恥ずかしながら、これまで私はワーケーションという言葉を知らなかった。

在宅ワークとは異なって自宅やレンタルオフィスで仕事をするのではなく、ワーケーションの仕事場はリゾート地。果たしてテレワークを行う会社員にとってワーケーションは有益なのか。自分自身がやってみたいかどうか、という個人的視点で考えてみたい。

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ワーケーションのメリット

通勤からの解放

これは在宅ワークにも共通するメリットだが、日々の通勤から解放される。通勤ラッシュで無駄に体力を削ることもなく、通勤時間を仕事なり私生活にあてられる。

生活空間との物理的な分離

リゾート地や観光地の非日常の中で仕事をすることになる。在宅ワークでは生活と仕事の空間を共有化するため、日々の生活空間の中に仕事を持ち込むことになる。一方のワーケーションは非日常空間に仕事を持ち込むので、生活空間は仕事と分離した安らげる場所として守られる。

創造性・生産性の向上

例えば企画系業務など、発想力や思考整理が求められる一方で勤務場所が制限されない職種の場合、豊かな自然やゆったりと流れる時間の中に身を置くことで創造性や生産性の向上が見込める。そもそも普段のオフィス業務で発生していた雑用から解放され、真に目の前の案件に集中することができる。

有休消化率の向上

出張に休暇を組み合わせて観光するイメージだろうか。ワーケーションは会社から交通費も宿泊費も出ない代わりに、"出張先"は自分の好きな場所を選べる。せっかくのリゾートなので、有給と組み合わせて楽しみたいと誰もが思うだろう。労働基準法が改正されて有給取得が義務化された昨今、ワーケーションを推奨することで有給消化率が高まるメリットもある。

地域活性化

純粋な観光客がメインだったリゾート地に仕事で訪れる人が増え、さらに滞在日数も増えるとなると地元経済への貢献も大きなものになる。また、ワーケーションでは平日も含めてリゾート地で過ごすことになる。休日だけに観光客が集中するのではなく、平日を含めて人の流れが生まれるメリットもある。

オフィス勤務の同僚と定期的に打ち合わせなどのコミュニケーションが発生する職種では大きな時差のある地域でのワーケーションは難しく、必然的に国内の需要が高まる。ワーケーションの整備は日本国内の地域活性化に役立つ可能性が大きいだろう。

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ワーケーションのデメリット

モチベーション維持

リゾートや観光地の空気感に飲み込まれずに仕事に真摯に取り組めるか、という問題もあるだろう。在宅ワークにも共通する個人の気持ちの持ちようだが、例えばワイキキのようなエンターテインメントに溢れた観光地よりも、自然に溢れた国立公園を選ぶなど、仕事に打ち込みやすい場所を選ぶことが求められるだろう。

勤怠管理

会社にとっては、社員がきちんと勤務をしているかどうかを把握することが困難になる。勤務時間ではなく、成果で評価するなどの体制整備が必要になる。

テレワークの環境整備

こちらも在宅ワークに共通することだが、オフィス勤務と同等の成果を求めるのであればテレワーク環境整備が必要になる。各社員へのノートPCの支給や遠隔会議ツールの選定など、ハード・ソフト両面での整備が各企業に求められるし、ワーケーションの受け入れ側は高速で安定したネットワークの整備が必要となる。それに伴う一時的な支出はデメリットとも考えられるが、将来的に有効な設備投資とも取れるだろう。

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コロナで進むワーケーション

コロナ禍でテレワークが推進される中で、ワーケーションの整備も進むだろうと思われる。少し極端な例だが、オフィスを廃止してコロナ後もテレワークを継続する企業もベンチャー系を中心にあるという。国によるワーケーション推進の状況と、ワーケーション環境構築に必要な条件を考えてみたい。

 

国立公園でのワーケーション推進

本年度の補正予算で、ワーケーションを推進するための予算が制定された。

環境省_令和2年度地方公共団体・事業者向け支援事業【令和2年度補正予算及び国際観光旅客税等】

ワーケーションのための設備投資に対して事業費の2分の1(公園事業者・公共施設の受託管理者は3分の2)の支援が出るという。補助金の過不足は別にして、国が主導してワーケーション推進に動き出すのは良い方向性だろう。

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ワーケーションの環境整備

ワーケーションの受け入れ先に何を求めるか。利用者の立場から考えてみたい。

ネットワーク環境

仕事の効率に直結し、最も大事な要素。もしネットワーク品質が貧弱であったなら、予定を早めて早々とチェックアウトするだろう。

テレワークでは業務上のコミュニケーションを取るためにネットワークを利用するしかなく、ビデオ通話などの利用も多くなる。貧弱なネットワーク環境は業務上のコミュニケーションを阻害し、そもそもワーケーションの体をなさない。ただのバケーションになってしまう。高速かつ安定したネットワーク環境の整備をお願いしたい。

仕事ができる空間

ワーケーションに誰と訪れるのか、また家族構成にもよるかもしれないが、仕事に集中できる空間の整備も求められる。例えば家族でワーケーションに訪れた場合を想像してみて欲しい。子供がはしゃいでいる部屋で集中して仕事をこなすのは難しい。

例えば1棟貸切のような場合は、1つの個室を仕事部屋に割り当てるということができる。一方、ホテルや旅館のような部屋貸しの場合は、各客室に仕事部屋を割り当てるのは困難だろう。日中は宴会場などのスペースをパーティションで区切ってオフィス用途に解放するなど、仕事に集中できる空間整備も必要だ。

同行者向けのサービス

家族でワーケーションに訪れた場合、平日昼間の家族の過ごし方も課題になる。本人は仕事をしていれば良いが、同行家族はリビングでNetflixという訳にもいかない。例えば子供向けの自然教室の開催など、同行家族向けのサービスの提供が求められるだろう。

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さて、自分がやるかどうか

私自身がワーケーションをやってみたいかどうか。ネットワーク環境が整っているという条件の下であれば、ぜひ試してみたいと思う。 在宅ワークも良いのだが、正直私生活と仕事との区別がつきにくくなったり、ずっと同じ空間にいることの閉塞感に嫌気が差す時がある。息抜きにふとベランダに出ると森林や海岸線が広がっている環境で仕事ができるとするとどうだろう。休日はそのリゾートを満喫することもできる。実際に体験してみるとそれなりに課題が出てくることも考えられるが、ぜひ体験してみたい。国主導のワーケーションの取り組みもぜひ実りある方向に促進していただきたい。